*ガンダム00*
□ぼくがあなたにできること
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すると突然ぎゅ、と抱きしめられて驚く。
「…ハッ、ハレル…」
「涙、冷てぇ」
「…っ!」
気付かれた。
慌てて引こうとするけれど、強く抱きしめられて叶わない。
「何で泣いてんの…痛かった?」
そう言って腰を撫でられてひくんと感じてしまう。
まさか起きるとは思っていなくて、酷く戸惑う。
「違…ぅ…」
熱い息を吐いて、否定の言葉を紡ぐ。
腰に触れる手は他意は無いってわかっているけれど。
そんな風に撫でられたら嫌でも感じてしまう。
大きくて綺麗な手、昨夜抱かれたことを思い出して知らず体が熱くなる。
それほどにもう、自分はハレルヤの体を、抱き方を覚えてしまったんだなってぼんやりと思った。
暫しの沈黙の後、ハレルヤが静かに口を開く。
「なぁ、俺また…名前呼んでた?」
そう問われてびくりと強張ってしまう。
気づいていたのか、自分が夜にそっと、片割れの名前を寂しそうに呟いていることを。
「な、何言って…」
「ぁー…やっぱりか。治らないな、畜生」
独り言の様に呟く彼。
そんなこと無いって、呼んでなんてないよって言いたかったけど口ごもってしまう。
「俺さ、アレルヤがあの女とくっついて…ひとりになったと思った」
僕を抱いたまま、ゆっくりゆっくりと言葉を吐き出す熱い体。
ハレルヤ自身からそんな話を聞かされるなんて予想外だった。
けれど、普段人を罵る以外の口数は極端に少ない彼が自分のことを話しているのは本当に珍しいから、息を飲んで続く言葉を待つ。
部屋にしばらくの沈黙が流れる。
きっと今彼は、アレルヤを思っている。