*ガンダム00*

□さわって溶かして
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ロックオンが優しく手を伸べてくれたのに、それを振り払ってしまった。

一瞬曇った彼の顔が切なくて。
だけども本当に、自分のことで精一杯で。
心の中でロックオンに謝りながらも、口から零れるのは熱い吐息ばかりだった。

「…ひっ…ぅ…こわい…」

恐い、恐い

駄目だ、本当に…もう。
おかしくなりそう。
少し動いただけで、体中に電流が走る。
冷たい床の感触にさえ、ひどく感じてしまう。
こんなのは…嫌だ…

たすけて……


「ティエリア…」

すると、落ち着いた静かな声と共にかけられたのは、お日様の匂いのする毛布。
毛布越しにゆっくり、ゆっくり抱きしめてくれた。

「恐くないよ…大丈夫、大丈夫」

その毛布と同じような柔らかさでふんわりと抱きしめてきて。
不安を取り除こうと、優しく背中を撫でてくれる。


「ひ…っ…ぅ…」

弱い所を見せたくなかった。
いつも冷静に前を向いて歩いていたかった。

ロックオンに、迷惑を掛けたくなかった。

だけど、もう駄目だった。
体が言うことを聞かなくて。恐くて恐くて、ぼろぼろだった。

「ロックオン…ロックオン…っ」

その暖かい腕にしがみ付いて、只泣くことしか出来なかった。
ゆっくりゆっくりと抱えられ、そっとベッドに寝かせられる。

「ティエリアが飲んだのはおそらく媚薬だ。…何故アレルヤが持っていたのかは疑問だが」

「っ…び、やく…?」

なに、それ。

「そう、体が敏感になる薬。恐らく一時的なものだろうからさ、心配しなさんな」

そう言って柔らかく微笑むロックオン。不安を取り除こうとしてくれているのが分かる。苦しさと、言いようの無い切なさが入り混じって心臓が早鐘を打つ。

「ロックオン…」

ぎゅっと目を閉じて気を紛らわそうとするけれど。ふわんと香るロックオンの匂いにくらくらする。
苦しい、喉の渇きにも似たひどい渇望感。

「ふぁ…ん…っ!」

駄目だ、もう…だめ

「我慢、出来なっ…ぁ…」

迫り来る欲に抗えずに、ゆっくりと自身に手を伸ばした。
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