*ガンダム00*

□闇空に君を想う
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そんなやりとりを、思い出した。
あの時見た夢は正夢だったのかとぼんやり思う。


暗い宇宙に、一人。
只広くて大きくて、漆黒の闇に漂う。

もう持ちそうにない、この体。
このまま消えていくのかと思うと体がぶるりと震えた。

みんなは…ティエリアは無事だろうか。
霞んだ目で見渡そうとするも、体が思うように動いてくれない。


――――ロックオン!


ふと宇宙の端から、愛しい人の声。聞こえるべくも無いその声は、鼓膜を揺らすことなく脳に直接響いてきた。

確かに感じる、ティエリアを。

広大な宇宙で、こんなにも遠くて近い存在。

あなたは一人じゃないと言ってくれた言葉を思い出す。
すうっと、不思議なくらい震えも恐さも消え失せた。

ティエリア…無事で、良かった。
声の感じる方向へ、もう感覚の無い腕を、それでも必死に伸ばす。

ティエリア…泣いているのか?
お前さんは泣き虫だもんなぁ。
寂しがりで、泣き虫で、可愛いティエリア。

俺は大丈夫だよ…心配すんな。

なんて言っても、きっと泣くんだろうな…

「あぁまた…泣かせちまうなぁ…」

もうほとんど機能しなくなった心臓が、それでも愛しい人の悲しむ姿を想像してちくりと傷んだ。


「ティエリア…」


愛してるよ。どうか幸せでいて。
もう抱きしめてやることは、出来ないけれど。

愛してるよ。どうか泣かないで。
幸せでいて…ずっと笑っていて。




視界の隅に映る地球。
巨大な闇空に浮かぶ小さな小さなその星は、手のひらに包み込めるほど小さくて綺麗、なのに。

この小さな世界で、争いを止める事が出来ない人達。

「なぁ、お前ら満足か?こんな世界で」

愛する者同士を引き裂く世界。
抱きしめる腕をも平気で奪う…奪い合う世界。


「俺は…嫌だね」


耳元で激しい爆発音と、近付いてくる死の気配。

俺は只、愛しい人の幸せを願いながらそっと目を閉じた。





*END*
最後まで、愛しい人の幸せを祈るロックオン。
読んでくださってありがとうございました!
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