*涼宮ハルヒ*

□土曜の朝に願うこと
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「コーヒー…冷めたじゃないか」

僕の鎖骨のあたりから、抗議の声。
抱きしめる心地よさを感じながら、キョン君の頭をゆるりと撫でる。

「もう一度温め直してきますね」

目の前の唇にキスを落として、ベッドから抜ける。

つもりだったけど、ぎゅうと抱きしめる腕が離れないのでじっとしていることにした。

「キョン君…」

「寒いから、もうちょっとこのままいろ」

「…仰せのままに」

その甘い命令を嬉しく思い、ことさら強く抱きしめた。
土曜日の朝はとても好きだ。

何も、起きなければの話だけど。
どうかこのまま何も起きませんようにと祈る。
そうすれば、土曜日の彼は僕だけのものだから。

…だけど。

ピピピピ

テーブルの上で鳴る携帯に思わずびくりとする。
機関からだ。

ああやはり僕は無力だ、と思った。
世界を止める力なんて無い。

この幸せな時間を、留めておくことすら。

「すみません…行かないと」

何でも叶えてあげるって
僕に全部任せてって

そう言えたらいいのだけど。
未だに神にさえびくびくしている僕にそんなこと言えるはずもなく。

「…無理すんなよ?」

だけど君が、それで充分だって笑うから。
また救われる自分を知る。

何でも言ってください。出来る限り、頑張るから。

だって世界はあなたを中心に回っている。
少なくとも、僕の世界の中心は、

「行ってきます、キョン君」

「早く帰って来い」

「…はい」

いつだって、その笑顔。




*END*
キミエ様2000HITありがとうございます!
嬉しいデス本当に(´;ω;`)
素敵なリクもありがとうございました♪
甘いのを目指しましたが…いかがだったでしょうか?楽しんでいただければ幸いです。
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