*涼宮ハルヒ*
□その10分間の延長法
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今日もまた短いデートが終わろうとしている。
昨日の帰り道に少し寄り道をしてしまったので…今日は大人しく帰ることにする。毎日延長を望んで鬱陶しいと思われたくは無い。
だけど…キョン君の家の明かりが見えてきて、一層なんだか寂しさが募った。分かってはいてもやっぱり歩みは遅くなっていく。
毎日一緒に帰れるという状況に幸せを感じるものの、別れ際の寂しさにはいつまで経っても慣れることはない。
幸せと切なさは、きっと一対なんだろうと思う。幸せな時間が来れば、それが終わりに近付くと言いようの無い切なさが込み上げる。
もう少し、出来ればもう少しだけ一緒にいたいのに。
「…古泉」
ではまた明日、と
その言葉を吐こうとした瞬間に呼び止められて振り返る。
「…はい、何でしょう?」
「えと、寒いしさ、何かあったかいモン…飲みたいんだけど」
ん、と。すぐそこの自動販売機を指差す彼。
予想外に少し伸びたデートを嬉しく思う。これはいつも頑張る僕へのご褒美ですか、神様…
もちろん断る理由なんて何ひとつ無い僕は
「では、何か飲みましょうか」
なんて、あくまで平然を装って喋ってみたりする。