*涼宮ハルヒ*
□その10分間の延長法
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「紅葉狩り、行くことが出来ませんでしたね」
ふたりで行こうと約束していたが、休日のほとんどを涼宮さんに振り回されたお陰で結局行くことが出来なかったデート。
少し…否かなり楽しみにしていたそれは、短い秋の間に叶えられることなく冬を迎えた。
行きたかったな、とつぶやくと
「来年行けばいい」
なんて、嬉しい言葉が降りてくる。
「…嬉しいです」
「ん?何がだ?」
はて、と首を傾げるキョン君に思わず笑みが零れた。
可愛いなぁ…
「だって、それって来年まで僕とお付き合いしていただける、ってことでしょう?」
「え、あ……あぁ」
自分の言葉を思い出して赤くなるキョン君。本当に、彼は可愛いと思う。
当たりまえに来年の計画を立てる彼に嬉しさを隠せない。普段好きだの愛してるだのなんて絶対言ってくれはしない彼だけど。
些細な会話の端々に、ふと愛情を見せてくれる。その瞬間が堪らなく好きで。
ああこの人が僕のもので良かったと、心から思う瞬間。
すぐ傍をのんびり歩く彼の横顔に見とれながら、来年の秋、というおおよそ1年後の約束が果たせますようにと小さく祈った。