*涼宮ハルヒ*
□とあるクリスマス前のこと
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次の日、無事期末テストも終了し(ああ、いろんな意味で終わったさ)俺はハルヒと部室で茶を飲みながら、そろそろ集ってくるであろうみんなを待っていた。
別段話すこともないので、ぼーっとしていた俺は、昨日創造した「恋人っぽいことを何もしてこない=愛情が無い」という方程式の真偽についてぼんやりと考えていた。
「古泉…ほんとに俺のこと好きなのかなー」
本当に、ぽろっと口から出た独り言でしかないそれをはいた直後、パソコンをいじっていたハルヒがバン!と机を叩いて立ち上がり
「あんた、そんなに古泉君の近くにいてまだ分かんないの!?」
と怒鳴った。俺は危うく茶を吹きそうになりながらもなんとか耐えた。
いきなり何を言い出すかと思えば…一体何を分かれというのだ。
「あのね、聞きたいことがあったら本人にちゃんと聞きなさい。
聞かなきゃ何も始まらないわ!一人でうじうじしてもしょーがないじゃない」
捲し立てるハルヒに驚くも、まあ尤もだなと思う。
本人に聞くのが一番、それは重々承知のうえだ。
でも…
恐い、と思った。聞きたいことを聞いて、それですみませんと言われたら?古泉が、俺に告白したことを後悔しているとしたら?
俺はきっと、立ち直れない。
さらにしょぼんと項垂れた俺に、溜息をつくハルヒ。
「はぁ…ニブニブのキョンに特別に教えてあげるわ。古泉君はね、キョンの話になるとす〜〜っごく幸せそうな顔をするの。いつもの笑顔の3倍くらいは笑ってる。…自信持ちなさいよ。」
それを聞いて俺はびっくりすると同時に口を開けたまま固まってしまう。
もちろん顔は真っ赤だろう。
それを見てハルヒがやれやれと言った様子で首を振る。
「近すぎて見えないものって結構あるのよね〜。探してたものは、案外傍にあるものよ」
肘をついて物思いに耽るハルヒ。
その言葉、お前が言うと凄く説得力があるぞ…という言葉が喉元まで出かかったがなんとか飲み込んだ自分に拍手を送りたい。
「ハルヒ…ありがとう」
「…分かったらさっさと行動にうつしてきなさいよっ。今日は部活は休みでいいから」
明日元気になって二人で部室に来なさいよ。
団長命令なんだからね、と、ちょっと照れながら言うハルヒにお礼を言って部室を飛び出した。