*涼宮ハルヒ*
□さようならのかわりに
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「な…んだよ……なんでこんな…っ」
「…退屈だからですよ」
理由などありませんよと吐き捨てようとした矢先、僕は自分の目を疑った。
彼は怒るでもなく
僕を睨み付けるでもなく
とても悲しそうな顔をしながら、泣いていた。
「…どうして…泣いているんですか」
「るせ…見んなっ…」
顔を背ける彼の頬に触れ、こちらに向かせる。
涙で濡れた黒い瞳
とてもとても、悲しい色。
胸の奥がちくりと痛んだ。
そんな、悲しい顔をさせたかったわけじゃない…
怒ったり、ふざけるなと言われたり、そういうリアクションを期待していた、のに。
目の前の彼は、泣きながらただ悲しそうに俯いている。
無意識のうちに、彼の涙にキスをした。瞼に、頬に、顎に…唇に。
自分でも驚くほど優しく、まるで壊れ物に触れるように口付けた。
「さわ…んな…俺は…俺は退屈しのぎのっ…材料にされるのは…ごめんだ」
彼は泣きながら呟いた。そのあと、
「それでも…お前を嫌いになれないのが…悔しい」
と、
消え入るような声でそう言った。
次の日彼は学校を休んだ。