*ガンダム00*
□キス&キス
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シャワーを浴びてすっきりした後、柔らかいタオルでゆっくりと濃紫色の髪を拭く。
張り詰めた日常の、ささやかな息抜きの時間。
*キス&キス*
「ふぅ…」
髪の毛からぽたりぽたりと落ちる水滴を見つめながら溜息を吐く。
浴室から出て洗面台の前に立つと、ほかほかの湯気が目の前の鏡を一瞬で曇らせた。
寒くもなく暑くも無いトレミーの室内は地上と違って居心地が良い。
しばらく何も着ないままぼんやりと髪を拭いていると、左耳が洗面台の扉を開く音を聞いた。
「…刹那」
そこに現れたのは、上半身裸の、刹那・F・セイエイ。
少し驚いたけれど、刹那がまったく驚いた素振りを見せないのでなんだか悔しくて。
「すまない、もう出るから」
平然を装ってみたりする。
「ティエリア」
「え?…っん…」
すると刹那の顔が近付いてきて、思わず目を瞑る。
睫毛にそっと、キスをされた。
「水滴が、ついている」
「…なっ…」
「泣いているのか」
「なっ…泣いてなどいない」
「泣くな」
そう言ってぎゅっと抱きしめてきて。
ほんとに泣いてなんていないのに、泣くな泣くなと強く抱きしめてきて、濡れた髪を撫でてくれる。
なんだかなあ、と思いながらも、大人しく腕を回すことにする。
…刹那、また背が伸びた。
しばらく抱きしめられた後、そっと体が離れる。
ふと名残惜しいななんて思ってしまった。
するとそっと頬に伸びてきた、指先。
「…っん…」
続いて降りてきた甘いキス。
角度を変えて降りてくるそれにドキドキしながら翻弄される。
小さく喘いだら、その隙に舌を差し込まれてびくんと背中に電流が走った。
「…っん…刹那…待っ…ん…」
優しくて、強くて、激しい。
こんなキス、ずるい。
気持ちいい。
「いつの間に、こんなことっ…覚えた…」
悔しくて悪態を吐いたら
「ティエリアを見ていたらこうしたいと思った。それだけだ」
なんて。
そんな台詞、卑怯だ。
気持ちいいキスに酔いしれて、かくりと体の力が抜ける。
すると腰に手を添えられて、ぐっと抱かれた。
熱くて大きな手
ほんといつの間に、こんなに大人になったんだ。
再びぎゅうと抱きしめられて、そっと耳元で囁かれる言葉。
「ティエリアが生きていてくれて、嬉しい」
だなんて。
今度は本当に涙が溢れて苦笑も出来ない。
僕もだなんて、言ってなんかやらない。
ああほんと、ずるい。
*END*
どんどん成長する大人な刹那に翻弄されるティエリア。
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