*ガンダム00(そのに)*

□すきの温度
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こんな痛みは知らない

こんな悲しみは知らない


去っていく広い背中を見ると、ひどく泣きたい気持ちになる


こんな感情は、知らない




**すきの温度**




「というワケで、次のミッションまで待機しておいて。みんな、体を休めておいてちょうだいね」


スメラギ・李・ノリエガの一言が発せられた後、マイスターがそれぞれの部屋に散っていく。


いつもと同じ、光景。

違うのは、彼、ロックオン・ストラトスの片目に痛々しい傷があること。


その傷をつけさせたのが、他でもない自分であること。



「さてと、じゃ〜俺は一眠りするかな」


軽い口調で少し大きく伸びをして、踵を返す彼。




大きな背中、去っていく彼。


待ってくれ、行かないで…離れないで


どんどん遠ざかる彼が、そのままどこか遠くへ行ってしまいそうで



「…ロックオン・ストラトスッ!」



長い廊下、どんどん離れていく背中に向かって泣いてしまいそうになる手前で、どうにか声を振り絞ってその名前を舌にのせた。



そのか細い声に気付いて振り向く彼に、少しばかりの安堵を覚える。




よかった、まだ彼はここにいる。




「どうした?ティエリア」


少し困ったような笑顔。
どうした?なんて問いながら、なぜ引き止められたかなんてお見通しで、



だいじょうぶさ、なんて笑うから。


もうそれだけで、溢れる涙を止めることが出来なくなった。





「ロックオン…ぼくは…っ…」



謝っても謝りきれない。償う術など何ひとつ持ち合わせていない。利き目を失う辛さなんて、測り知れない。

今この場で両の目を差し出せと言われれば、僕は喜んで差し出すだろう。
でも、分かっている。そんなこと彼はこれっぽっちも望んじゃいない。



「だぁいじょうぶだって、泣くなよ…」


軽い口調で言いつつ、頭を撫でてくれる優しい人。
まるであやすみたいに背中をさすりながら、呪文のように繰り返し大丈夫大丈夫と言ってくれる。
たまらなく心が痛い。



部屋に入ってドアをしめた途端に、ふわりと抱き締められた。
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