*ガンダム00*
□絡まる指を解くのは
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例えば背負っているものの重さに耐えきれなくなりそうな時
例えば戦う理由を見失いそうになった時
決まって僕は、してしまうことがある。
不本意だか、認めたくはないが…確かにそうしたいと思う自分がいる。
*絡まる指を解くのは*
ミッションの後、疲れたので休むと言って早々にコックピットを後にしたティエリアが向かう先は、自分の部屋。
一人になりたい訳じゃない。只…本当に疲れただけだ。
小さな村の小さな民俗が起こした反乱は、やがて大きな爆弾テロを引き起こした。反政府組織と名乗る数名の…たった数名の人間の手によって、この町でも随分多くの人が死んだ。
繰り返される命の奪い合いと、それを防げなかった後悔に胸が痛む。
「…所詮は戦争、か」
そう溜め息を吐いてソファに寝転がる。お世辞にも柔らかいとは言えないけれど、今の荒んだ気持ちには丁度良い。
段々と瞼が重くなり、意識が虚ろになってゆく。
それでも静かに開いた扉に少しだけ意識が覚醒して肩が揺れた。
「…ダメだよ、こんな所で寝ちゃ」
その少しだけ低くて柔らかな声にとろりと溶かされそうになる。
この声、嫌いではない。
声色ひとつで彼が小さく笑っているのが読み取れた。
近付く気配にそっと目を閉じる。
「眠たいんです…アレルヤ。少しだけ、仮眠をとります」
そう言ってわざと彼と反対方向に寝返りを打つ。
「…ティエリア」
すると、ふわりと体が宙に浮き、抱き上げられたのだと分かる。その腕の力強さとあまりの優しさに、本当に宙に浮いたのかと思うくらい。
「ベッドで寝よう、ね?」
そう言ってあやすみたいに頬にキスされて、思わずぷいと横を向く。
くす、と小さく笑うアレルヤを余所に、けれども大人しく腕の中に収まっておく。
ゆっくりと下ろされたベッドは少し冷たくて心地が良い。耳元に伸びてきた長い指に眼鏡を外されて初めて、まだ自分がそれをかけていたことに気付く。
「…んっ」
こめかみに触れた彼の指にぴくんと反応してしまって声が漏れる。恥ずかしいとは思うけれど、自分では止める術も無い。
「ゆっくりおやすみ。また、起こしに来るから」
そう言ってふわりと髪を撫でられる。どこまでも甘やかす、熱い手。それが離れるか離れないかの刹那
「アレルヤ…」
「ん?」
「…水が、飲みたいです」
呼び止めたのは、偶然だ。偶然水が飲みたくなって、偶然そこに、アレルヤがいたから。
他意は無い、そう自分に言い聞かせるも、目を細めるアレルヤに気づいて恥ずかしくなる。
「少し、待っていて」
また小さく頭を撫でられて少し戸惑う。アレルヤはもしかして、頭を撫でるのが癖なのだろうか。
他の人にも、するのか。
そう考えて否定する。考えること自体、馬鹿げているから。