*ガンダム00*
□ぼくがあなたにできること
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ハレルヤの人格が出てくると、決まって僕のところにやって来る。
何をするでもなく、只かったるいだの腹減っただのと呟いて
気が済んだらアレルヤに戻るだけだったのに。
いつの間にか僕達は抱き合って眠るようになった。
お世辞にも優しいなんて言えない交わりで、前戯なんて皆無だった。
只入れられて吐き出されるだけの行為を飽きるまで繰り返し、疲れて眠る。それだけで。
それはソーマ・ピーリスがマリー・パーファシーという人格に戻ってから一層激しさを増した。
あまりの激しさに途中で気を失うことも多くなった。
でも、拒めなかった。
行為の最中にいつも、とても悲しそうな顔をしている彼を、放ってはおけないと思ったから。
*ぼくがあなたにできること*
「…ん…」
抱かれるだけ抱かれて気を失った後、深い眠りに落ちて。
夜中ふと目が覚めた。
「ハレルヤ…」
隣で眠る彼の名をそっと呼んでみる。
するとハレルヤが聞き取れないくらい小さな声で呟いたのは、
かけがえの無い、片翼の名前。
分かってる、そんなの初めから気付いてる。
彼は寂しいんだ。
ずっとずっともう、ハレルヤにはアレルヤしかいなくて。
アレルヤにもハレルヤしかいなくて。
世界にたった2人だけだったのに。
2人だけの世界にマリーが現れた。
世界は3人になったけれど。
アレルヤは彼女を選び
彼女もアレルヤを選んだ。
そうしてハレルヤは、独りになった。
心がずきんと痛んだ。
すうと眠る彼を、思わずそっと抱きしめた。
「…僕が、いるから」
アレルヤのかわりになんてなれるわけ無い。
どうしたってひとつの体になることは出来ないし。
貴方の苦しみも悲しみも直接感じることは出来ない、けれど。
その代わり、こうやって抱きしめて温もりを与えてあげられるから。
「寂しくなったらいつでも僕を、抱けばいい」
言って涙が溢れた。
こんなことしか出来ない僕。
体を差し出したところで、抱き合ったところで
彼はきっとまたこうやって、寂しくアレルヤの名前を呼び続けるのだろう。
もう彼の悲しそうな顔なんて見たくは無いのに。
「…ハレルヤ…」
ハレルヤが眠っているのをいいことに
その逞しい胸に顔を埋めて、声を押し殺して泣いた。