*ガンダム00*
□闇空に君を想う
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もっと抱きしめてやればよかった。
もっと手を繋げばよかった。
もっともっと、キスすればよかった。
好きだよティエリア…何よりも大切な存在。
だからどうか、幸せになって
俺が、いなくなっても
*闇空に君を想う*
真っ暗な空、夜だろうか。
瞬く星の間に漂いながらふわふわと浮く俺は、只綺麗な空を仰ぎ見る。
綺麗だな、と思って周りを見渡すと、どこにも、誰もいなくて。
どこまでも、一人だった。
「…っ!」
びくりと起き上がる。シーツを握る手には、じわりと汗が滲んでいた。
「…夢、か…」
とても寂しい夢だ、と思った。目が覚めていっそう寂しさが込み上げてきて、無意識に温もりを求めて指先が彷徨う。
探し当ててそっと触れたのは、隣で眠る小さな体。
出来るだけ優しく抱きしめる。まだ夢現でぼんやりとしているティエリアを、起こしたくは無いが…起きてほしい。
「…ティエリア…」
二つの感情を持て余し、それでも寂しさに抗えずにそっと名を呼んだ。
そっとキスをすると、ふわりと笑っておはようございますと呟いた。
「どうか…したんですか?」
抱きしめてくる体が、少し震えているのを悟ったティエリアが、心配そうに見詰めてくる。
それだけで、随分気持ちが楽になる。
まるで魔法のようだ。
「夢を、見たんだ」
「…ゆめ?」
抱きしめあって、お互いの温もりを確かめ合う。
自分よりも一回り程違う小さな体。どうにか腕を伸ばして抱きしめてくる彼を、とても愛しいと思う。
「何の夢を見たんですか?」
「夜空を、飛んでたんだ…綺麗だった」
「そらを?それは…綺麗でしょうね」
「…でも、一人だった」
抱きしめる腕が強まる。
今し方見ていた夢を思い出して、額に冷汗が滲んだ。
すると耳元で、静かに…それでいて強い声。
「あなたはひとりじゃ、無い」
と。
「僕が…いるから」
あやす様に背中を撫でてくれる小さな手。
どんなときも傍にいますと、そう告げてくれる優しい人。
頼り無いけれど、なんて照れながら微笑むから、堪らず綺麗な唇にキスを送る。
「…ありがとう…ティエリア」
くすぐったいほどの幸せに包まれながら笑いあう。
先ほどまでの不安は綺麗に消えていた。