*涼宮ハルヒ*
□土曜の朝に願うこと
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ねえ何でもするから言って。
何も持ち合わせていない僕だけど。
*土曜の朝に願うこと*
白いシーツに沈む背中。
うつ伏せの格好で、まだ眠そうにもぞもぞしている姿に笑みが零れる。
一足先に起きた僕は、暖かいコーヒーを入れて彼の元へ運ぶ。
コーヒーの良い香りに誘われて、綺麗な背中がぴくんと動いた。
「起きてください、キョン君…ね?」
傍のテーブルにことんとカップを置き、キョン君に近付く。
シーツごとふわりと抱きしめると、くすぐったそうな声がした。
抵抗する素振りを見せながらも、本気で嫌がってなんてなくて。
「寒いからまだ起きたくないし」
なんて言いながら、布団を深く被って舌を出すキョン君。
可愛くて可愛くて、堪らない。
普段本当にそっけない彼が、眠そうに目をこすりながら恥ずかしそうに笑う。
情事の次の朝にだけ見せる、僕だけに許された特別。
形の良い首筋にキスを落とす。
続いて、綺麗な背中に、キス。
「ね、寒かったですか?僕が布団から出て行って。」
「…言ってろ…あっばかっ…んぅ」
否定の言葉が無いので、肯定と捉えることにして
そのままするりとベッドに潜り込んだ。
「お前…手ぇ冷たい…」
「じゃあ、温めてください」
それを理由に指を絡ませる。
キョン君の熱が、指先を通して全身に行き渡るようで。
絡まる指がふたつとも同じ温度になったのを確認してから、細い体をそっと抱きしめた。
ゆっくりと背中に回されるキョン君の腕に、幸せを感じて目を閉じる。