短編2[BL]
□悲愴する愛に
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「しんちゃん…したい。しんちゃんと、ひとつになりたい」
「うん、いいぞ。ボーちゃん…俺も同じこと考えてたから」
大好きな女の子みたいにお互い柔らかい身体ではないし、排泄器官に突っ込まれたときは今も少しだけ痛いけれど。
それでも止めたいとは思わない。片手では足りない愛の言葉には、これでしか返せないからだ。
そもそも、ボーちゃんはAVでも生身の女の子にも反応しないらしい。勿論、男にも。
(…でも俺は別だって。俺に触れただけで興奮するって…あの真面目なボーちゃんが言ったんだぞ)
そんなことを言われれば、女じゃなくても嬉しくなってしまう。
「んぁ!」
「しんちゃん、ここ…が、いいの?」
「ん、…やだ!ボーちゃん、もう…んぁあ」
ボーちゃんはどこで勉強したのか、よく動く指にたっぷりとローションを垂らし、ぐちゅぐちゅと水音を響かせた。
アンアン啼くのは女だけかと思ったら存外、自分も同じような声が出ることに最初はしんのすけ自身も驚いたものだ。
(…だけど、やっぱりセックスは女の子とした方が楽だなぁ)
しんのすけの両膝の位置をずらし、ぐぐぐっと奥の孔に圧迫感があって、それがズブズブと押し入ってくる。
ボーちゃんの性器が、しんのすけの内臓を押し上げるように挿入を強引に開始した。
痛みは最初の頃に比べて軽減したけれど、少し…いや大分、苦しいことは今も変わらない。
そもそも、ここは排泄器官なのだから多少の苦痛は仕方ないのかもしれないけれど。
慣れない痛みに目尻がチカチカした。でも、それでいい。痛みがあるから、愛がある。
「しんちゃ、ん…には、ボクが…っいる」
「ボーちゃん」
「ボクにも、しんちゃん…だけ。しんちゃんだけで、いい」
「…っ俺も、そう…思うぞ。ボーちゃん」
そこに男女のような愛や恋が存在したって世間から見れば男同士で不毛だと思われるかもしれない
多分、ボーちゃんが浮気にたいして敏感になり過ぎるのはこんな負い目があるからだ。
いつか俺がこんな不毛な関係に嫌気がさして女の子に逃げてしまうんじゃないかって、怖がっているから。
確かに、男同士のセックスなんて喜んでするもんじゃない。
後始末も準備も大変だし中出しされれば腹を壊すし、ちゃんと慣らさなければ怪我をすることだってある。
こんなにも苦労したって赤ちゃんができるわけもなく、俺の穴が女性器にかわるわけでもなく。
(でも、それでも俺はボーちゃんを選んだんだぞ。ねぇ、ボーちゃん俺だって…不安なんだぞ)
「ボーちゃんも、浮気したら…許さないから」
「…平気。しんちゃんしか、好きに、なれない…から、だから」
「ボーちゃん」
嬉しくて悲しくて、止まっていた涙があふれた。
ボーちゃんは女も男も好きにはなれない。けれど俺だけは例外だと、笑ったから。
俺はそれだけで身体に残る少しの痛みくらいなら、なかったことにできるんだぞ、ねぇ。
愛してるよボーちゃん。
end.