企画べや!
□ボーしん
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ボクはしんちゃんが好き。多分、しんちゃんがボクよりも先に死んでしまったら、ボクは生きてはいけない。軽く死ねる気がする。
(そんなことを言えば優しい…しんちゃんは怒ってしまうかもしれないから、言えない)
けど、事実である。ボクとしんちゃんにお別れと言う日が来るとしたら、それはしんちゃんがボクを嫌いになるか死ぬか、どちらかひとつだ。
ボクがしんちゃんを嫌いになることなんて、ない。から…ボクがしんちゃんを残して死ぬ…こともないから。だから。
「いっそ…腐ってしまう前に捨ててしまった方がいい、ぞ」
「…っしんちゃ、」
「それ。冷蔵庫に入れてなかったから腐ってるかも。ボーちゃん?」
「…そ、う…だね」
しんちゃんを失っては生きていけない。そんな自分の考えていることが見抜かれてしまったのかと思った。
けれど、しんちゃんは机の上に置かれた食べかけのケーキを見ている。
「…そう、する。また…新しいの…買う」
「うん。それがいいぞ…どしたの?顔色悪いぞ、ボーちゃん」
「…しんちゃん、と…いつまで一緒に…いれるか、考え…てた」
「ボーちゃんってば昨日の今日でなに考えてるの?ボーちゃんらしいけどさ…考え過ぎだぞ」
「しんちゃんの誕生日…だって、傍に…いたい、から…呆れた?」
枕に顔を埋めていた、しんちゃんが幾ばくかの感情を滲ませながら端整なそれをくしゃりと歪める
(あ、またボクのしらない顔…しんちゃんは一体、いくつ隠し持っている、のだろうか)
「呆れない…けど。ボーちゃんっていつも俺の考えないことばっかり考えるでしょ?」
「…しんちゃん、を誰にも奪われたく…ない、から不安で」
「んー、ボーちゃんってば背が高いし男前なんだから俺の方が不安要素ばっかだぞ」
ボクは自分の容姿にはあまり興味がないが。でもしんちゃんはボクの全てに憧れを抱くらしい。
他人に不愉快に思われるような不潔な格好をしたり、一般受けはしないだろう服を着たりすることはないけれど。
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