企画べや!

□ボーしん
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「そんなこと、ない。しんちゃんは…ボクよりも魅力的。だから、ボクは不安に…も、なる」

「ボーちゃん?」

「…で、も…しんちゃんを…それで困らせた。だから、反省…してる」

「反省とか…しなくていいぞ。俺だって一生一緒にとか…簡単には約束できないから」

「…うん、」

「だから俺はボーちゃんとの今を大切にして…それがいつか永遠になると思ってるぞ」

「しん…ちゃん、」

優しい瞳の中に自分の顔が映し出されている。

設定していたアラームが、鳴り響いてもその場から動けないでいたのは、あまりにも穏やかな時間だったからだろうか。

例えばの話。しんちゃんを失ってしまったらボクは本当に死んでしまえる自信がある。そんな感情こそが道化にも似ていて笑えやしない。けど。

(シングルベッドに男ふたり狭くても、ここがボクの絶対的「世界」であることに、変りはない)


「ボーちゃん、大人っぽいから女の子から人気あるぞ。知ってた?」

「しんちゃんにしか興味…ないから。しんちゃんだけ、いればそれでいい…それだけで、ボクは…生きていける、から」

まさに盲目。なのにしんちゃんに捨てられることばかり考えている。捨てられて腐ってしまうなら、そうなる前にボクから捨ててしまえばいい。

簡単なことだ。なのに、永遠にそんな日が来るとは思えなかった。ボクはきっと腐っても捨てられても大事にしてしまう、そんな人間だ。


「んー、そろそろ起きて遊びにいきますか。ボーちゃん」

「そうだね。今日は…しんちゃんの誕生日…だから、しんちゃんのしたいこと…する」

「ほうほう!まずは、おはようのチューしなきゃだぞ!ボーちゃん」

「…うん、しんちゃんらしくて…好き…おはよう、しんちゃん」


あと何回、訪れるか分からないしんちゃんと過ごす誕生日。同じ朝。狭いベッドにふたりだけの世界。何十回、何百回。

君とボクのふたりだけの5月5日の物語。


「お誕生日、…おめで、とう…しんちゃ、ん」


end.
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