企画べや!
□しんネネ
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しんネネ
ぼんやりと夜の空を眺め、吸っては息を吐く。その繰り返し。
空気が肺の奥に、じわり。5月だと言うのに夜はまだ、ほんの少しだけ肌寒いと思った。
I hope you like my present.
「しんちゃん!」
「…ネネちゃん?」
家に帰る道中。
あと少しで日付が変わるだろう深夜に幼馴染の姿を見つけ、驚きに目を見開いたまま瞬き一つせずに一体どのくらいの時間が経過しただろうか。
ネネは黙ったままの、しんのすけにもう一度、呼びかけた。
「…ネネちゃん。こんな時間に何してるの?もしかして、ひとり?」
「ひとりよ。しんちゃんだって、こんな時間まで何してたの?」
「何って…俺はアレだぞ。バイト?」
「どうして疑問形になるのよ。どうせ、合コンでも行ってたんでしょ」
腕を組み、しんのすけを見つめるネネの姿は衿つきのドット柄ワンピース
薄着の女性が増えるのは、しんのすけにとって嬉しい出来事のひとつでもあるが。
だが、こんな夜中に。しかも女の子がひとり。もう少し警戒心を持つべきではないだろうか。
「俺のことはいいでしょ…それより、ネネちゃん。それ、短くない?」
「それって?」
首を傾けるネネにしんのすけは少し考えてから「スカートの丈が」と彼らしくもなく言葉を濁している。
ネネは自分の下半身へと目を移した。
ドット柄のワンピースからのびる傷ひとつない綺麗な脚は確かにいつもよりも少し露出しているかもしれない。
でも喜ばれると思っていたのに、まさか注意されるとはネネには予想外だったのだ。
「ネネちゃん、帰るぞ。家まで送るから」
「…ま、待って!しんちゃん…怒ってるの?でも、ネネは平気よ」
「いいから!…俺が平気じゃないんだぞ。分かるでしょ。ネネちゃん」
いつの間に緊張していたのか硬く握り締めた手のひらをゆっくりと開くと、しんのすけは自分よりも小さなネネの手を引き寄せた。
こうして手を繋ぐのは、いつ以来だろうか。幼いころは恥ずかしくもなかった行為が今は慣れないでいる。
(…いや、慣れてしまってはそれはそれで互いに困ってしまうような気もするが。いや絶対に)
「しんちゃんは誰とでも…手を繋げるの?」
「…いきなり、どしたの?ネネちゃん」
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