短編2[BL]

□僕達の場合
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「しんちゃん、さっきの風間君だったの?」

「そうだぞ。でも今日は用事があるみたい」

残念ね、とネネちゃんはマサオ君に持たせていた鞄から映画のチケットを取り出した。

ボーちゃんはコンビニから、ちょうど買い物を済ませたところのようで片手には傘が握りしめられている。

「…ネネちゃん、その、映画…どうしたの?」

「ママが懸賞で当てたの。ボーちゃん、こういうの好き?」

「ボクより、風間君の方が、好きそうな…映画」

「そうなのよ!せっかくだから風間君に渡そうと思ってたのに」


確かに、ネネちゃんが好きそうなドロドロした恋愛映画ではなさそうだ。マサオ君もボーちゃんも俺も苦手なジャンル。

(眠くなるような歴史ものだ。風間君だったら勉強の為とか言って喜びそうな映画だぞ)

何て事を考えていたしんのすけにネネは「しんちゃんにあげる」と、しんのすけの胸にチケットを2枚押しつけた。

(ここに風間君がいたならば一緒に、観に行く約束ができるんだけど…いや俺と一緒じゃあ断るかもしれないなぁ)


「それより、ボーちゃんコンビニで傘、買ってたけど、どしたの?」

「…明日、雨。降る」

「雨かぁ…空が暗いと疲れたときは憂鬱な気分になりそうだぞ」

「しんちゃんが?」

「ううん、風間君が」

いつも少しだけ勝ち誇っていた顔が、それはもう誰が見ても分かるくらい疲れていたのだ。

(模試が近いから遠慮して最近はメールも電話もしていなかったから、きっと一人で頑張り過ぎているんだろう)

しんのすけはコンビニ前にあるガチャガチャに200円を投入するとハンドルを勢いよく回した


「それ、なに?」

「もえPのストラップだぞ。可愛いでしょ」

「しんちゃん、アクション仮面はいいの?」

「いいのいいの」

もえPのガチャガチャの隣にはアクション仮面のガチャガチャもあったけれど、しんのすけは迷わず此方を選んだのだ。


「…送信」

そして、そのもえPの画像と映画のチケットを添付したメールを誰かに送信したらしい。

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