短編2[BL]

□時川ショウ
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「…懐かしいな」

「おお。あ、あそこからならよく見えるぞ」

歩いて数分。一週間しか世話になっていなかったショウは幼稚園までの道を完全に忘れている。

だが、しんのすけは先頭をずんずんと迷いなく歩き不審者に思われないようにと、ふたりは遠くから見物することにした。


「走ってる。よしなが先生も、まつざか先生もお元気そうだぞ」

「…おう」

遠目からでも分かる、子供を追いかける懐かしい光景に、しんのすけは昔の自分を柄にもなく当て嵌めてしまう。

ああして、ショウと競争したこともあるし、ショウと過ごした一週間は悲しいことよりも楽しかったことの方が多かった。

(ショウ君もそれを懐かしむために、俺に会いにきたのだろうか)


「なんか飲むか。今日はオレが奢る」

「おお、太もも!」

「それを言うなら太っ腹だろ。同じのでいいか」

そう言って近くにあった自動販売機で缶のコーラを二つ、手にして戻るとショウはプルタブを開け地面に座るしんのすけの頭にのせた。

手にした缶コーラを「乾杯」とばかりにしんのすけは差しだすとショウは缶の重なる音を響かせ「お前との再会に」と、整った顔を寄せてくる。


「…ショウ君って女の子にモテるでしょ」

「ああ?…モテねぇよ。それに女は…いい。面倒だからな」

「ショウ君が言うと説得力に欠けるぞ。そんな男前な顔して」

「…お前は?」

「俺は、ネネちゃんとかあいちゃんとかで忙しいからなぁ」

地面に座ったままのしんのすけは壁に背を預け此方を見つめてくるショウに違和感を覚えつつも言葉を飲み込む代わりに顔を反らせた。

結果として、空気が重くなったけれど。


「どんな奴だ」

「ネネちゃんとあいちゃんは…可愛くて、良い子だぞ。それに」

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