短編2[BL]

□しんネネ
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しん+ネネ



恋愛と友情の狭間で行き来するメールのやり取りは虚構と少しの愛でできている。

多分、ネネとしんちゃんみたいに。



してちた



「しんちゃん」

「なぁにー?」

しんちゃんが最近、バイトをはじめた喫茶店に立ち寄ると、ちょうど休憩時間のしんちゃんと出くわした。

このお店は、しんちゃんが働く前から静かな雰囲気で勉強にも最適な場所だったから明日、学校で提出する課題を終わらせようと持ってきていたノートと筆記用具がネネの前には並べられている

その正面には、携帯を片手に空いた手でカプチーノを口に運ぶしんちゃんと目があった。


「…ネネは勉強してるの。しんちゃんの携帯、うるさいわ」

「ごめんね」

しんちゃんは笑って、またメールを打ち出した。一体、誰と連絡をとり合っているのか。

(ネネが近くにいるのに、しんちゃんはどうしてネネを見てくれないの)

店内には珍しく誰もいなかったので、ネネはそっと近づくと、しんのすけの携帯を奪って机の下に隠した。

「ネネちゃん」

「…やだ。返さない」

「ご機嫌斜めですなぁ。ケーキ食べる?」

「…しんちゃんの奢りなら食べる」

「ふっ、いいぞ。持ってくるから待ってて」


しんちゃんはネネには特別、優しい。信じられないけれどマサオ君やボーちゃんがそう言うのだからそうなのだろう。

(でも。でもね、しんちゃんはネネにはあまりメールをしてくれないのよ。他の子とはいっぱいするのにね。悲しいわ)

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