短編2[BL]

□しんネネ
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「お待たせ、ネネちゃん。ついでに、カフェモカもおかわりする?」

「…する」

休憩が終わったのか、しんちゃんは腰にエプロンをして戻ってきた。

ギャルソンカフェの制服みたいな作りは、少し悔しいけれど、しんちゃんによく似合っている。

意外と仕事中になると年上の綺麗なお姉さんがいても、しんちゃんは声をかけないし、かけられても上手くかわしているように思えた。


「ネネちゃん、熱いから気をつけるんだぞ」

「…うん」

「俺の携帯は後で返してね、ネネちゃん」

「誰とメールしてるの?女の子?彼女?」

そう言っている間もしんちゃんの携帯からは、また着信音が流れていた。

ネネが持っていても仕方がないから携帯はそのまましんちゃんに返すと、ネネは熱いカフェモカに口をつける。

「…女の子だけど彼女じゃないぞ。今、俺に彼女がいないのは知ってるでしょ」

「うん。ねぇ、しんちゃんとネネが学校で噂になってるのは知ってる?」

「なってるの?」

「…なってるの」

いつだって噂の中心人物だから今更、ネネと付き合ってるとかどうでもいいのかもしれない。

しんちゃんは、へーとかふーんとか気の抜けた返事をして仕事に戻って行った。

ネネは明日、提出の課題をしなくてはいけないのに視界を遮っても、しんちゃんの声が頭から離れない。

ふっと、見ても笑っていたり冗談を交えて会話をするしんちゃんに女性客の目がハートになっているのがネネには分かる


(どうして一人で来てしまったんだろう。風間君やマサオ君やボーちゃんを誘えば良かったわ)

もう帰ろうかと思ったら自分の携帯が振動しているのが分かった。受信ボックス一件。しんちゃんからだ。


噂になったら困るの?って書かれている本文に、ネネは困ると返信した

「どして?」

「…しんちゃん」

ちょうど、接客が終わったところなのだろうか。しんちゃんは、またネネの目の前に座ると、にこりと微笑んだ。

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