短編2[BL]
□しんネネ
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予想もしていなかった行動にうろたえる。不真面目なしんちゃんが仕事中だけは、どんなに綺麗なお姉さんがいても真面目に働くのに。
もしかして熱があるのかと顔を上げれば、こちらを見つめる目がいたって真剣だったのでまたうろたえた。
「…仕事中でしょ」
「今はお客さんが少ないからいいんだぞ。それで、どして?」
「…ネネ、告白されたの。だから噂は困るの」
「誰に?」
「部活の、先輩」
お腹の底からぐ、と一呼吸おいて、ネネは居たたまれなさから視線を下の方へそらした。
「付き合うの?」
「…しんちゃんは、どうしたらいいと思う?」
「ネネちゃんの好きにすればいいと思うぞ」
驚くほど低い声で、しんちゃんが携帯に何かを打ち込みだした。ネネと話しているときに誰かとメールをしているのだ。
しんちゃんにとって、ネネって一体なんなの。本当に幼馴染としか思ってもらえていないのだろうか。そう思うと惨めで悲しくなった。
「しんちゃん冷たい」
「冷たくしてる」
「どうして?ネネが嫌いになったの?」
ボロボロと落ちそうな涙を我慢しているネネに、しんちゃんは、くちびるでゆるく弧を描いて笑っている。
「…しんちゃ、」
声に出した瞬間、ネネの携帯が振動しているのが分かった。嗚呼もう!こんなときに一体誰が。
泣きそうになった両目を押さえ、フォルダをひらく。受信一件。
□2011/02/05
□しんちゃん
□Re:![](http://id53.fm-p.jp/data/273/070207/pri/77.jpg)
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好きだぞ
-END-
恋に落ちる