とある魔術/他短編

□土御門+上条
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クロッカス



「カミやんの右手は甘い匂いがするにゃー」

「っ待て、おいこら土御門!別に普通の手だろ」

「かもしんないにゃー。でもこの右手で、また誰かを助けたろ」

子犬のように、それこそ甘えてくるインデックスよりも少しばかりタチの悪い友人に当麻はどうするべきか。

それこそテストですら働かせない頭で思案し、まずはこの近い距離間に問題があるのではないかと考えた。

ちなみに土御門が正面から当麻を抱きしめるような格好になっているので、逃げ場もなければ恋人同士のような光景だ。

「もしかしなくても機嫌、悪いのか?土御門」

「オレって実は甘えるのが好きなんだぜい」

「甘えるって、うぉ」

「どうよカミやん」

「どうって…ふざけるなよ。土御門」

友人以上の距離に、それこそキスをしてしまいそうな感覚に目尻から火花が散るような音がした。

正確に言えば、歯と歯がぶつかり不快な音を耳に残してしまったのだ。

(嫌ならその右手で殴ればいいのに、お得意の説教でも構わないのに、カミやん、それは残酷だにゃ)

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