短編2[BL]

□隣人の愛し方
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しん+ネネ
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ただ、この世界で息がしたいだけだった。二人いれば世界は回ると思っていたけれど、でも。


隣人


「…ネネ、好きな人ができたの」

朝の通学路。自らの唇の上に指先を重ね合わせる動作を俺にみせたあと、ネネちゃんは首を捻りながら呟いた。

可愛い、と思ったと同時に胸の奥がズキリッと痛む。ああ、俺ネネちゃんが好きだったんだ。

(何年も隣にいて今更、気がつくなんて俺ってきっと報われない恋をする運命なのかもしれない)


「…誰?」

「ネネ達の隣のクラスにいる野球部の人なんだけど。ほら、しんちゃんとこの前、話してた」

「ああ、ネネちゃんの好きそうな爽やかな感じの…本気なの?」

「…うん。しんちゃん、応援してくれる?」

「ネネちゃんがそれを望むなら。当たり前でしょ、俺はネネちゃんの恋を応援するぞ」

なんて笑顔で言ったつもりだったけど、ちゃんと笑えていただろうか。恋をした瞬間に失恋するなんて何処まで俺にお似合いなの。

でも、ネネちゃんが笑ってくれるなら、幸せならそれでいい。そう思った瞬間ネネちゃんは不安そうな顔をした。


「でも競争率高いのよね、しんちゃんから見てネネって魅力的?」

「魅力的だぞ」

「…嘘。しんちゃんは年上の人しか興味がない癖に。でも嬉しい」

ネネちゃんの満足そうな顔に、嘘じゃないぞ、と言おうとしてやめた。

同じ高校に通うようになってから分ったことだけど、ネネちゃんは俺と距離を測るようになった気がする。


「…俺はネネちゃんの恋を応援するぞ」

「うん、ありがとう…しんちゃん」

だから立ち止まって告げると、ネネちゃんは一歩多く進んでやっと振り返る。それが悲しいと思ったのは間違いだ。

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