短編2[BL]

□君を好きで良かった
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しん風しん



神様。僕達は欠陥品ですか?あと何度さよならを繰り返せば僕達は幸せになれるのでしょうか。


「風間くん、俺の写真。寂しいときはこれを見るように」

「…いいよ。そんなもん僕に渡すな」

「んもォ、我儘だなァ。寂しいくせに素直じゃないぞ」

「それは僕の台詞だ。そんなことで結婚なんかできるのか」


苦笑いにも似た言葉が手からスベリ落ちた。それでも、温かいと思うのは先ほど自動販売機で購入した缶コーヒーのお陰だろうか。

夜桜がとても綺麗な、いつもの公園。誰もいない、車の音も人の声も聞こえない。あるのは互いの息と星の数ほど。


「風間君が結婚するなって怒鳴ってくれたらしないぞ。風間君が決めて」

「…僕にそんな権利ないだろ。相手の子に失礼じゃないか」

「冗談に聞こえるでしょ、でもこれでも俺は本気なんだぞ」

「…お前は、僕のことを大切にし過ぎる。しんのすけ、もういいんだ」

あの頃、僕もしんのすけもまだ中学生で、恋に恋をする時期だった。だから一度だけ肌を重ねたことがあったけれど。

でも、もう時効だ。あんな一度きりの過ちをいつまでも、僕はそれをしんのすけ。お前の枷にはしたくない。


「…風間君、」

「なん、だっ」


しんのすけとの距離が近くなって。それから目の前が真っ暗になった。唇、そして鼻に何か温もりのある感触だけが伝わってくる。

なんだ。思わず視界が開けると、そこには自分から離れていくしんのすけの顔があった。


「…好きだぞ」

「それは僕の台詞だ。…お前は残酷だな。しんのすけ。キスのつもりか」


今更、あの日の続きでもするつもりか?お前はもう結婚してしまうのに。別れてほしいとも言えずに僕はお前だけをみていたよ。

でも、そういうところが好きなんだ。唯一、心から素直になれる相手はお前だけだし、これから先もそうなんだろう。

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