短編2[BL]

□誰にも言えない
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※一周年(菜花様へ!)
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しんちゃんは女性の扱いに手慣れていて妙に紳士的なところがあった。

その癖、どんな女の人と付き合っても3ヶ月とて続かないのだ。


誰にも言えない


「しんちゃん、携帯が鳴ってるよ?出ないの」

「知らない番号でしょ?登録してない番号には出ない主義だぞ」

「…ふふ知らない番号なんて嘘。付き合ってた相手からのくせに」

「ネネちゃん」

しんちゃんは困ったように力なく鳴り響く携帯を枕に押し込んだ。

ぐわんぐわん響く音楽は窓を叩くように何度も微動を繰り返す。


「そんなことだから、いつか刺されると思ってたわ、ネネは」

「自業自得、って風間君にも言われたぞ。でも死ねなかった」

「…死んだら嫌よ。ネネは一生、恨んで生きていくことになるもの」


白い壁。病院のベット。個室だから、狭くも広くもないその空間。

しんちゃんは、付き合ってた女性に脇腹を刺されてしまったのだ。


「包丁で刺された気分はどう?相手の子は、自首したんだって」

「堪えられない痛みじゃなかったぞ。ネネちゃん…幻滅した?」

「…しんちゃんがいつまでも本気の恋をしないことに幻滅したわ」

ガラッと開いた病室の扉。帰ろうとしたネネにしんちゃんは微笑んだ。

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