短編2[BL]

□a new world
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しんちゃんは携帯の電源を切り、いつもと同じ笑顔を浮かべていた。

ボクたちは友人の嘘だけを丁寧に重ねては壊す寸前で立ち止まる。


その先に進めないのは臆病からか。それとも未知なる世界への恐怖か。


「だからセックスしょう。俺を抱いていいから」

「…駄目、」


「なんで!俺をボーちゃんのものにしてよ、じゃないと…俺!」


いつか逃げてしまう?やっぱり男同士が怖くなった?しんちゃん。

噛み合わない歯車を必死に回してボクたちはいつも同じ答えばかり。


いつから好きだったか、これが最後の恋じゃないのに、が百万一回。


「しんちゃんを…抱いたら、もう戻れなくなる」

「戻る必要なんてないぞ。逃げたってもう幸せにはなれないんでしょ」

しんちゃんが笑う気配はない。光に反射した頬は金色に染まっていく。

綺麗。好き。そんな思考を巡らせるボクを他所に、優しく呟いた。


「だから、セックスしょう。痛くても気持ちが良かったら愛だぞ」

「しんちゃ、」


もう、それからのことは、よく覚えてはいない。

抱き合うように、玄関に駆け込んで、衣服を廊下に投げ捨てた。


無我夢中。全身を焼いたように熱くなる衝動にボク達は泣き叫ぶ。


「し、んちゃんの…この奥に…ボクがい、る」

胸にそっと手を当てると、しんちゃんは愛しそうに目を細めた。

「ボーちゃんも」

「しんちゃ、ん」

ゆっくりと指でボクの体を辿るとしんちゃんは心臓の上を指で指した。

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