短編2[BL]

□しん+ひま
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「しんのすけが、帰ってこない…夢をみたの」

「俺が?」

触れていた肩が小さく震えたのが布団越しに何となく分かった。

「しんのすけ、卒業したら家を出ていくでしょ」

「ひまわり」

泣き出しそうな声を出す癖にそれを隠そうとするのは、ひまの癖だ。

多分、こうなってしまったのは俺にも責任の一端があるんだろう。

震える手。強がりほど身体に悪いものはない。

けれどそれを崩してやった後の責任を取れるだけの器量もないのだ。


「しんのすけ…ずっと…この家にいて…シロだってきっと寂しい」

「俺だって寂しいぞ?でも、ずっと俺もひまもここには居られない」

居心地が良い。

けれどずっと此処にいると言う事は微温湯に浸かると言うことだ。


「いやだ、」

「ひまわり」

しんのすけは布団の中に手を入れ、ひまわりを優しく抱き寄せた。

小さな身体は抵抗なく腕の中へ収まり、胸へ頭を預けている。

「しんのすけは、ひまが可愛くないの?離れても寂しくないの?」

「…ひまは可愛いし離れるのは俺だって寂しいぞ。当たり前でしょ」


あと少しすれば、俺は卒業してここを出て行く。

充実した毎日は離れがたさを感じさせるが、それでも決意は変わらない。

大人になるって、きっとこういうことだ。痛みも苦しみも持て余す。


「俺の携帯…ひまからの着信は特別なやつに設定してあるんだぞ」

「…携帯?」

一体なんの話?と見つめるひまに俺は微笑んだ。

「他のみんなは同じ着信音だけど、ひまわりだけは違うんだぞ」

「ひまだけ?」

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