短編2[BL]
□此処にいる
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「…先輩はその人に好きだと言わないんですか」
「言ったよ」
でも、どうやらボクは1番にはなれないらしい。
だって現にボクは、告白しても友達以上には進めないのだから。
「そんなの、マサオ先輩が1番じゃないなんて信じられない!」
キラキラ眩しい、その女の子の言葉にボクは痛む心臓を右手で押えた。
(1番じゃないなんて、)(信じられない)(か)(ああ眩しい言葉だな)
眩しくてボクは目を開けることを、ほんの少し躊躇ってしまったんだ。
「マサオ君!また他校の子と喧嘩したでしょ」
「ネネちゃん」
「噂になってるわよ…売られた喧嘩を買うなんて子供のすることだわ」
「…子供だよ」
「マサオ君のくせに…生意気!しんちゃんも心配してたんだから」
「心配?」
「そうよ」
しんちゃんが?嘘だ。そんなこと、ありえない。
だって、しんちゃん最近はボクと目も合わせてくれないんだよ?
「…っ、」
「マサオ君!」
ネネちゃんの言葉を振り切ってボクは学校を飛び出した。授業放棄。
胸の中がザワザワする。イライラする。こんな日に限って空は曇りだ。
「…っくそ!」
昔は弱い自分が嫌いだった。だから変わろうと思ったんだ(なのに)
「待てよ、お前!マサオ!テメェ!シカトしてんじゃねぇよ」
なのに、ボクは何も変わってなんか、いなかったんだ。
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