短編2[BL]
□月下と心中
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「もしかして痛い?苦しい?大丈夫?ネネちゃん…無理は駄目だぞ」
「大丈、夫」
「だったら」
頼むから泣かないで、しんちゃんの震えたその声にネネは驚いた。
(嗚呼しんちゃんも怖かったんだ。ネネとこういう関係になることが)
「しんちゃん好き…好き…!しんちゃんが好き」
「ネネちゃ、」
「ど、して…繋がってるのに一緒に…っ溶けてくれないの?ねぇ、」
神様。神様。
ネネは好きな人と一緒に溶けてしまいたいのよ。
「ネネちゃん、」
切羽詰まったしんちゃんの声にネネの胸も苦しくなる。熱くなる。
「しんちゃん、ネネ…っん…いま…どんな顔してる?変なか、お?」
「可愛い顔だぞ」
優しい、しんちゃん。長い片想いの末、やっと結ばれた大切な人。
だけどネネの胸にあるのは喜びでは無く不安だった。一方通行なのだ。
触れている、それは嬉しい。抱き合っている、それは幸せ。
(でも、1番欲しかったものを手に入れたらどうなるのか、なんて)
その先のことはまだ考えたことは無かったのだ。
思いがけずこうなって、ネネたちは易々と一線を越えた。
望んでいた通りに互いの肌を感じながら、虚しくなるほどの恐怖。
ネネたちはどこへ行くの?どこがゴールで、どこが終着地点なの?
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