短編[BL]

□星屑の中で
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「しんちゃんの、ママ遅いね?大丈夫?」

「ん、大丈夫」


「どこか苦しいところはない?タオル冷やしてくるから待ってて」


ありがとう、そう言いたくても、その声さえろくに出てこない。

ああ、風邪ってこんなに辛いものだった?頭が割れそうに痛いぞ。


「しんちゃん?」


ああ、やばい。ネネちゃんの声も遠い。耳から魂が抜けていくみたい。

ふわふわ、ゆらゆら、目尻が何故か曇っていく。



「っ、ネネちゃん…もういいから…部活に行く時間でしょ?ほら」


なんとか力を振り絞って言ってもネネちゃんは言うことを聞かなかった。


「いいの、今日は…しんちゃんの傍にいるから」

「…ネネちゃ、」


「しんちゃん凄い汗…お水飲む?先生からさっき貰ってきたから」


水すらも飲めないだろう弱った俺の胃はもう何も受け付けなくて。

申し訳なく思いながら手で払うとネネちゃんは泣きそうな顔になった。



「――…いい、」

「…しんちゃん」


苦しい!そう言いたくても、あまりにも不安げな顔に言葉を飲み込む。

ああ、どうしてネネちゃんがそんな顔をするの?


(俺なんかのために、そんな泣きそうな顔なんてしなくてもいいのに)


「やっぱり…ネネじゃ駄目なんだ…今、しんちゃんの彼女を呼んで」

「いい、大丈夫、…ネネちゃんが傍にいてくれる方が安心、するぞ」


そんな顔しないで。ネネちゃんじゃないと、こんなに甘えないぞ俺。

本音で喋れる異性なんて、きっとネネちゃんくらいじゃないかな。


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