短編[BL]
□シンデレラ
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しん←ネネ
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しんちゃんに
恋人がいることも、その人と結婚することもネネは知っていた。
シンデレラ
「こういうときは嘘でもいいから好き、だとか言った方がいい?」
「なにそれ、不快なだけよ…そんな言葉いらないわ、しんちゃん」
「…うん、ネネちゃんならそう言うと思ったぞ」
床に散らばった衣服
しんちゃんは、それを拾いあげ、シーツをネネの身体に巻きつけた。
そうして音もなく伏せられた睫毛は、何故かネネの心を震わせる。
「ネネちゃん、身体…平気?加減できなくて、ごめんね?」
「気にしないで、ネネが…お願いしたんだから」
しんちゃんと、セックスしたい。だから、して。
嫌なら断ってくれても良かった。けれど、しんちゃんはネネを抱いた。
しんちゃんは優しい。無謀なネネの言葉を、優しく包みこんでしまう。
「ネネちゃんって肌が白くて…ちょっとビックリしたぞ」
「綺麗だった?」
「…綺麗だった」
柔らかい、しんちゃんの声。ネネは反射的に顔を上げ瞼を伏せた。
部屋から漏れた薄い蛍光灯の光も夜の星も、全部全部、怖かったのだ。
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