短編[BL]
□シンデレラ
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「ネネちゃん、マフラー…忘れてる」
「…いらない」
「でも、勿体無いでしょ。まだ綺麗だし…ホラ、外は寒いぞ」
「…いらな、い」
いらない、何度そう言ったて、しんちゃんは聞いてくれなかった。
まるで大人のように、少し遠くからネネをみる、その目。苦手だわ。
「いらないなら、家で始末すればいいでしょ」
「…でも、」
「駄目、そんな簡単に俺は捨ててあげないぞ」
手が震えた。
悲しかった、嬉しかった。しんちゃんが遠い所にいることが。
「…捨てな、い?」
「うん、捨てない」
もう決して交じり合わぬ道にお互い居ることが。
「やっぱり夜道は危険だぞ、送っていくけど」
「…いい、大丈夫よ。どうせ…家なんて近いし…っ、しんちゃん」
「ネネちゃ、」
「……あげる」
しんちゃんがネネの首に巻いてくれたマフラーを、彼の首にかけなおす。
赤いマフラー。しんちゃんぽくて、それは、ネネの一番のお気に入り。
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