短編[BL]

□好きです
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「風間くん、もういいでしょ。答えが出ないなら俺は帰るぞ」

「しんのすけ!」

「…それと電話もメールもお互いに連絡はとらない方が良いね」

唖然とする僕にしんのすけは、そう言ってレジに向って歩いていく。

(何だよ、おい!それって…もう別れるみたいな、言い方じゃないか)


「じゃ風間くん。暗いから気をつけて帰ってね」

「…ああ、」

何だよ、何だよ!別れるときは、そんなにアッサリするものなのか!

(お前の…しんのすけの気持ちは…その程度だったのか?なぁ!)

互いの体のホクロの数まで知り尽くした関係でもそれは昔の延長だ。


「…っ、やっぱり…僕と、しんのすけじゃ合わなかったんだ」

後悔、と言うよりは悲しみで、声を出すことすら億劫だ。ああ、くそ。

大体、しんのすけと僕じゃ意見が合わなくて当たり前じゃないか。


「ねぇ、風間くんは、どうして…しんちゃんが好きになったの?」


そう、ネネちゃんに聞かれたときがある。でも答えられなかった。

今だって同じ質問をされたとしても、きっと答えなんて出てこない。

一線を越えて、ただ好きになってしまったのだ。

男同士で、幼馴染で、しかも相手は、しんのすけで。女性が大好きで。


「…それでも、」

もっと深く知り合いたくて身体の関係にまで堕ちてしまったけれど。

かえってそれが僕達の距離を開いたのではないか、と思う時もある。


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