短編[BL]

□ピリオド
1ページ/1ページ


チーター河村+野原
------------------




ぽたり、頬から落ちた水滴がアスファルトにあわい染みをつくった。

拭ってもぬぐっても噴き出してくる血に、河村は苦い息を押し殺す。


「何してんだ」

「かくれんぼ」


「…1人でか?」

「おお、正解」


足元に転がるボールを手にとって、草むらに隠れる野原に目を向けた。

体育の時間に、何やってんだ。しかも、また1人遊びか、こいつは。


「おまえ…成長しねぇな…楽しいか?その遊び」

「一緒に遊ぶ?」


「…誰が遊ぶか」


思考を断ち切るように河村は冷たい飲み物を喉へと流し込んだ。


「河村くん、どーしたの?頬から血が出てるぞ」

「あ?ああ、練習試合のときに怪我したんだよ」


河村の言葉に、しんのすけは手を伸ばし、その手を河村は包み込む。


「いたい?」

「…平気だ」


珍しく心配しているのか。たんなる気まぐれか。



「保健室、行くんでしょ?俺も付き添いするぞ」

「…ああ、」



(そんなことをしたって、俺は喜んでなんてやらねぇからな)

(…、俺は)



「しんのすけ」


もう聞えないだろう、その名を呟いて、胸の中の鼓動を打ち消した。


俺は、お前が

「好きだ、なんて…のも結局はコレも1人遊びみたいなもんか」


(…なんて、)

(1人遊び何てものは、片思いのようで俺は嫌いだけれど)

end.



-片思い-

自分のことを思ってもいない人を、一方的に恋い慕うこと。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ