短編[BL]

□明後日の方角
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きっと、ごめん、そうしんちゃんがネネちゃんに謝るのは分っていた。

だけど、ここは何とかしなければ。お互い、意地っ張りだから。


「じゃぁ、ボクが、ネネちゃんを探してくるよ」

「シロ?」


「大丈夫だよ、そんな顔しないで…しんちゃん」


ボクは少しだけ、しんちゃんより高い背をのばし頭にボクの手をおいた。

しんちゃんは払いのけることなんてしない。ボクを優しく見つめるだけ。


「待ってて」


そんな、しんちゃんがボクは好きだ。同じ顔なのに同じ声なのに。

まるで鏡に恋をしているかのような、甘い錯覚。


けれど、ボクとしんちゃんは根本的な部分があきらかに違うのだ。

「ネネちゃん」

「…、シロ?」


「泣いてたの?しんちゃんも心配してたよ」

「シロが迎えに来てくれたの?ごめんね、それと…ありがとう」


「ボクが、勝手に来ただけだから気にしないで」

「…優しいのね、シロは。しんちゃんと同じ顔でもやっぱり違うわ」


ネネちゃんは、長い睫毛を揺らし、廊下を一歩二歩、足を進める。

グッと詰まった喉のおく。大きな欠陥が口の中でじわりと息を殺す。


「しんちゃんは優しいよ、ネネちゃんがよく知ってると思うけど」

「…しんちゃんは優しいわよ、でも…シロ限定」


シロにだけ優しい。それはネネちゃんからみた第三者の意見?

けれど、ボクからみたら、しんちゃんはネネちゃんにこそ優しいと思う。


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