短編[BL]
□明後日の方角
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「おお、シロ!こっちに来てお弁当食べよう」
「…うん」
けれど、それでいい。ボクに気付いたしんちゃんの優しい笑顔。
それを見つめながら、そんなことを思っていた。
「シロ、あんたからも何か言ってやってよ」
「何を?ネネちゃん」
「…しんちゃんの女癖。いつか刺されても知らないわよ!」
「しんちゃん、またなにか悪いことでもしたの」
ネネちゃんの言葉にボクは少し驚きながら、牛乳パックを握り潰す。
思ったよりもグッと掴んだせいか手の中に小さな水滴がまとわりついた。
「悪いこと、って…シロってばそんなふうに俺をみてたの?」
「違うけど」
「でしょ?」
ボクの一言に満足したのか、しんちゃんは違う話題をもちかけた。
最近のグラビアは、とかそんなどうでもいいことを皆で語りあう。
ヒートアップする話しの中で、ついにネネちゃんだけが席を立った。
それを見て、ボーちゃんもマサオくんも「あ、」と声をあげる。
「いいの?しんちゃん…ネネちゃん怒ってたよ」
「いいのいいの」
ヘラヘラと笑いながら、ネネちゃんのあいた席をしんちゃんは見つめた。
けれど、追いかけることもせず、また新しい話題をもちかける。
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