短編[BL]
□2人の場合
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教室の扉、閉めようとした手が不意に止まり、ネネの影がのびる。
夕日と影の黒。綺麗な模様はネネの色々な部分を、色にした気分。
「しんちゃんが欲しい」そんなことを頭の中ではお願いしていた。
けれど頭の中でも「ごめんね」と断られている。
「…何もいらない」
「ネネちゃん、何もいらないって言う顔じゃないぞ、その目は」
気付いたら、しんちゃんはネネの真正面に立ってネネを見ていた。
背が高い。しんちゃんの好きな香水の香り。長い指がネネを捉える。
「…しんちゃ、」
「何が欲しい?」
言って?そうやって、ネネを見るのは卑怯だと思うわ。しんちゃん。
しんちゃんが欲しい。けれどそれはサンタさんも叶えてはくれなかった。
「…赤い糸」
「赤い糸?」
「赤い糸がほしいわ、ハサミでも切れない奴よ」
硬い日誌。それが今は手に持つだけで重くなっていく気がした。
意識がどんどんと、暗くなって胸の中に「恋の病」がいるみたい。
「わかった楽しみにしてるんだぞ。ネネちゃん」
「しんちゃん」
しんちゃんだけよ。赤い糸が欲しいと言って笑わないのは。
しんちゃん、しんちゃん好きよ。大好きなのよ。
友達でいい。だから、ネネを少しだけ大切に想っていてください。
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