短編[BL]

□2人の場合
3ページ/7ページ




教室の扉、閉めようとした手が不意に止まり、ネネの影がのびる。

夕日と影の黒。綺麗な模様はネネの色々な部分を、色にした気分。



「しんちゃんが欲しい」そんなことを頭の中ではお願いしていた。

けれど頭の中でも「ごめんね」と断られている。


「…何もいらない」

「ネネちゃん、何もいらないって言う顔じゃないぞ、その目は」


気付いたら、しんちゃんはネネの真正面に立ってネネを見ていた。

背が高い。しんちゃんの好きな香水の香り。長い指がネネを捉える。


「…しんちゃ、」

「何が欲しい?」


言って?そうやって、ネネを見るのは卑怯だと思うわ。しんちゃん。

しんちゃんが欲しい。けれどそれはサンタさんも叶えてはくれなかった。


「…赤い糸」

「赤い糸?」


「赤い糸がほしいわ、ハサミでも切れない奴よ」


硬い日誌。それが今は手に持つだけで重くなっていく気がした。

意識がどんどんと、暗くなって胸の中に「恋の病」がいるみたい。



「わかった楽しみにしてるんだぞ。ネネちゃん」

「しんちゃん」


しんちゃんだけよ。赤い糸が欲しいと言って笑わないのは。

しんちゃん、しんちゃん好きよ。大好きなのよ。


友達でいい。だから、ネネを少しだけ大切に想っていてください。

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ