短編[BL]

□拍手文SS
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<アクション仮面(郷)+しん>



「もう子供じゃないぞ、郷さん」

「…しんのすけ君」


毛皮を思わせるような、リッチな触り心地が魅力のファーラグマットの上に剛太郎を押し倒し、しんのすけは静かにそう問いかける。

「せっくすだって、できるんだぞ」と上機嫌に剛太郎の唇に指を這わせると戸惑いに身を震わせながらも、それでも俺の目の前では正義のヒーローであろうとしている。


(可愛い郷さん、俺のアクション仮面)

咽の奥からごくりと唾を飲み、長い沈黙が続いた。嫌だって抵抗しても夢中になるくらい、めちゃくちゃにしてくれていいのに。


「簡単にせっくすなんて言葉を選んじゃいけないよ。しんのすけ君」と正義のヒーローは言った

こんなときまで俺に対して大人で、多分それ以上にアクション仮面でいようとする郷さんに笑ってしまった。

俺に欲情しているくせに、いつまでも道徳的で俺のヒーローでいようとする郷さんを愛しく思わない人がいるのだろうか。

郷さんの俺に対する説教はまだ続いていたけれど、ちっともその内容は頭に入ってはこなかった。心臓は五月蠅いくらい脈をうつ。


「郷さんも好き。アクション仮面も好き」

「しんのすけ、君」


(郷さんの声って怒ってるときも困ってるときも色っぽいなぁ、毎日まいにち好きだけが煮詰まっていくんだぞって)

こういうことばっかり考えているんだって教えたらやっぱり欲情を隠して今よりも困った顔をするんだろうか。

泣いても抵抗しても、無理矢理でも夢中になるくらい愛してほしかった。


「…私が君に触れてもいいかい?」

「いいよ。郷さんに触れられて嫌な場所なんてどこにもないんだぞ」と笑うと、唇がとろけそうなくらい甘い味がした。


正義の下で愛が呻く

end.
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