短編[BL]
□拍手文SS
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<※クレしんで、ボーちゃん→しんのすけ←風間くん。苦手な方はご注意下さい。>
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世界が、恋を知らなければ良かったのに。感情なんて、ものを排除してくれたら良かったのに。
そうしたらボクたちは今もきっと友人として長く付き合っていけたんだと思うんだ。
「ボーちゃん、僕は鞄の中身が一杯になると買い物を止めるんだ。けど、いらないものは処分するから、また買い物は再開されるんだ」
「風間くん、は…昔と…変わらないね。そうやって、しんちゃんも自分の中に入れようと、したの?」
学校帰りのファーストフード。小さな子供から大きな大人まで勢揃いの賑やかな店で、198円の飲み放題。
けれど、グラスは放置されたまま机の上には伝票と、自分達の手が置かれていた。
「でも、できなかった。人を好きになると同時に嫌いになれたら楽だとか、そう思わない?ボーちゃん」
「ボクは、…しんちゃんが好き、だから…しんちゃんを嫌いになった…自分が…想像できない、と思う」
もし、例えば、そんな未来がきたとしても、きっと、また好きになるんだと思う。ボーちゃんは確かに、そう風間に向って言葉を吐き捨てた。
「しんのすけの奴、僕達が自分を好きだなんて微塵も思ってないんだ。でも僕はそれでいいとさえ思っている」
「だけ…ど、現状維持は難し、い。このまま…ずっと、友達…でいるのは…多分、無理」
手に持った煙草
いつもなら吸わない。だけど、今日、なんとなく吸いたいと思った。言葉に出せない感情を胸に溜めておくのが辛いから。灰にして殺してしまいたかった。
「僕、ボーちゃんとライバルだって分かったとき…少しだけ嬉しかったんだ。不謹慎かもしれないけど」
「ボクも、同じ、風間くんの気持ち…分かる。風間くんだったから、そう思ったの…かもしれない」
幼馴染。カスカベ防衛隊。友達。親友。そして、ライバル。これ以上、最上級の言葉があるか?
「しんのすけが好きだって思う自分を殺したいくらい憎いよ。なんで僕はあいつが好きなのか自分でも自分が分からないなんて」
「仕方ない、相手は…しんちゃんだから。好きな理由なんて、きっと考えても見つからない。でも、しんちゃんじゃなきゃ埋められないものも、ある、から」
「…そうだね」
確かに、そうだ。このポッカリあいた穴を埋めようとするならば、その相手が必要だ。それが、しんのすけだっただけの話しなんだろうけど。
「風間くん?」
「…いや、何でもない。そろそろ帰ろうか、ボーちゃん」
神様、仏様。ああ、神なら何でもいいです。世界から「恋」か「友人」っていう定義をなくして下さい。
end.
あとがき
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しんちゃん出てねぇえええええええ^^