短編[BL]
□アネモネの恋
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「…代々木くんって俺が好きだったの?」
「軽蔑してもいいよ、気持ち悪いと思ってくれても…いいから」
だから、君の答えがほしい。剣道で挑むときに似た淡い緊張感。
こうやって君の前で対面するのは何度目だっただろうか。
「代々木君の手…好きだぞ、代々木君の、お顔も好き、声も好みだぞ」
「…そう、」
「代々木君が笑ってくれたら俺も嬉しいと思う」
「野原く、」
それって?どういう意味?顔を上げて君を見た瞬間、少し驚いた。
君は白いカーテンで顔を覆い隠し恥ずかしそうに俯いていたからだ。
可愛い、可愛い、可愛い。胸が五月蝿いほどボクの中を駆り立てた。
「野原くん、ボクはね君が昔から好きなんだよ」
「…ぅ、」
「ボクも君が笑うと嬉しいし…こうやって今も抱しめたくなるんだ」
カーテンに包まれた君を抱しめてボクは少しだけ涙を浮かべた。
「代々木君って望まれているから手に入らないもの何てないでしょ」
それはいつかの夢
誰に言われたんだったか、もう覚えてはいない。
けれど今なら「違うよ」そう言える気がした。
ボクはいつだって必死なだけなんだ。勝つことも負けることも。
「好きだよ、君が」
「代々木君よりも俺の愛の方が大きいと思うぞ」
「いやいやボクなんか君の3倍愛してるんだよ」
アネモネの恋
君を好きだと言ったら更に好きになってしまった
end→