短編[BL]
□最後の台本
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「しんちゃん、僕も…しんちゃんが好きだった」
ううん、これからも。そう言って今度はボーちゃんに携帯が渡る。
ボーちゃんは何かを考えたった一言、言葉を吐き出すだけだった。
「しんちゃん…好き」
しんちゃん、まるでこれは呪文。きっと永遠に解かれることはない。
あいつは僕達に自分の存在を強く焼付けたのだ。
「はい、風間君」
「…………ああ」
そして最後に僕
何て言ってやろうか、ああ、何て言えばいい?
どうしたら、お前は後悔する?僕達を残して去ってしまうことを。
「おい、しんのすけ…お前…いい加減にしろよ」
「こっちは何度も電話してるんだ。少しくらい声を聞かせたらどうだ」
ほいほい?そう言って、生意気な声で受話器の向こうに居ただろ?
なぁ、しんのすけ。僕達はお前がいればそれで良かったんだよ。
「知らないだろ?お前が死んでどれくらいの人が悲しんだかなんて」
きっと、お前のお葬式には長蛇の列ができるに違いないだろう。
みんな、泣いてお前を見送るんだ。これから先、楽しいことも全部。
お前はみんなに見送られるんだぞ?なぁ、しんのすけ。聞いてるのか?
「答えろよ、しんのすけ…っ…しんのすけっ」
「風間くん」
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