短編[BL]
□最後の台本
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「大丈夫だよ、ネネちゃん…しんちゃんなら答えてくれる」
「…マサオく、」
最近のマサオ君は、あいつに電話をしないと落ち着かないらしい。
一種の病気、ボーちゃんはそう言った。けれどそれも今日で終りだ。
「ネネちゃん」
「…風間くん」
「しんのすけに言えなかったこと言うんだ。最後のチャンスだよ」
はい、そう言って僕の携帯を渡す。ネネちゃんは泣いていた。
何度、僕達がお前に信号を送ったか知ってたか?
会いたいなんて言わせるなよ。会いたいなんて思わせるなよ。
『此方は留守番電話サービスセンターです「し、んちゃん」』
「しんちゃん、どうしてネネを置いていくの」
「しんちゃん、どうしてさよならを言わせてくれないの、ねぇ、」
しんちゃん、どうして此処にいないの?ネネが泣いているのに。
息を切らし、ネネちゃんは最後に大きな声で綺麗な笑みを零した。
「しんちゃん、ずっと言えなかったけど…しんちゃんが大好き」
「ネネちゃん」
それだけ伝えると次はマサオ君に携帯が渡された
マサオ君は少し遅れて「しんちゃん」と言った。
「しんちゃん、ボクにとって…しんちゃんはヒーローだったんだよ」
「いつも強くて…憧れてたのかもしれないんだ」
正義、自由奔放、悪い意味でも良い意味でも君は天才だったから。
マサオ君の深い呼吸。息をするのが苦しそうに僕たちをみた。
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