短編[BL]
□お綺麗な愛
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「…っふ、だって…ここに…骸がいるはずない」
「ボンゴレ?」
だって、骸が日本にいるわけないし、何より骸は今、力が使えない。
骸、骸、って何度呼んだってあいつは今まで現れてはくれなかった。
「おや?泣いているんですか?どこまでも涙もろい男ですね君は」
「…っふ、」
ボロボロ落ちた綱吉の涙。大きな瞳も揺れる睫毛も蜂蜜色の髪も。
その全てが骸には触れてはいけない、別の世界の住人に思えた。
「あまり泣かない方がいい…目が腫れますよ」
「…っ、骸がそんな優しいこと言うなんてやっぱり夢なんだ…ふふ」
綱吉は、笑を噛み締め、そして止った涙を床にポタポタと落とした。
なぜ、こんなにも悲しいのか自分でも分らない、そう言った顔だ。
「骸、オレ…!」
「…、どうやらこのあたりが限界のようですね」
ポツリ、落ちた空の雫
そう言えば昨日は雨だった、綱吉はぼやける視界でそんな事を思った。
(ああ、何で)
骸の手が消えていく。骸の横顔が揺れていく。
「いやだ…骸…こんな…終り方、いやだ…骸」
「…君にとって僕は何なんでしょうねぇ…そして僕にとっても君は」
一体、何なのか。どうしてここまでして気になるのか。考えるのか。
何故、自分はこんなにも己の弱さを見せてしまっているのか。
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