短編[BL]
□アザレア
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「…ッ、くそ」
「え、ちょ!」
クラスが騒ぐ。オレはしんのすけの腕を掴み教室から飛び出した。
きっと、クラスの人気者であるコイツを奪い去ったオレは悪役だ。
「…悪ィ」
「どうしちゃったの?俺に謝るなんて河村くんらしくないと思うぞ」
キュッと、響くシューズを擦る体育館(どこまで走ってたんだオレは)
そう思ったと同時に、しんのすけの手をはなす。
「そんなに俺が皆に話したこと恥ずかしかった?でも冗談だぞ?」
「…ああ、」
「昔の話をしてたらつい河村くんの話になって」
「…そうか」
「でも河村くんが覚えててちょっと…ビックリ」
柔らかい髪。クルクルの瞳。長い睫毛。どれも男には不似合いだ。
なのに、なんでお前がソレを持ち合わせている。
「…話し」
「…あ?」
「話があって俺を呼んだんでしょ?手短にね」
足元に落ちていたバスケットボール。しんのすけは片手でボールを弾く。
ダンダン、音を響かせボールを掴むとゴールに向かってソレを投げた。
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