短編[BL]
□春眠暁を覚えず
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好きだと自覚するのは簡単で、そこからはもう落ちるだけだった。
ツナが好きだ。ツナが好きだ。何万回の愛の告白。この恋は困難。
「まさか獄寺とライバルになるとは思ってもみなかったけどな」
そう笑った山本に獄寺は何かを言いかけてやめた
やっぱ、テメ─はむかつく、そう呟いて残りの煙草を吸ったのだ。
「ごめん、遅れて!」
「10代目!そんな走ってこなくても大丈夫スよ」
「はは、転ぶぞツナ」
数分後、沈黙した空気のなか綱吉は屋上の扉を開き息を弾ませた。
山本は綱吉を地面に座らせ、その隣を挟むよう続いて腰を下ろす。
「ツナ、暑いか?」
「うん、少しだけ」
「10代目、オレなにか冷たい飲み物買ってきま」
「い、いいよ!」
いきなり立ち上がった獄寺に綱吉は驚いて獄寺の腕をつかんだ。
じわり揺れる熱。獄寺は乾いた心臓を押し殺す。
「獄寺、おまえの感情はツナへの押しつけにしかなってねーぜ」
「んだとコラァ!」
「うわ!2人とも!」
綱吉は喧嘩一歩手前の2人に慌て大声をあげた。
2人に挟まれている綱吉にとってこの状況は暑いものでしかない。
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