短編[BL]
□愛されていたい
1ページ/4ページ
しん→←あい+防衛隊
恋は落ちるものだ
落ちて、落ちていつか遠くに消えていくものだ。
愛されていたい
「…うわ」
「凄い人」
きゃーと響く甲高い女性の声援と、しん様の名を叫ぶ大熱狂。
スパイクがキュキュッと体育館の床に擦れ、ボールが太鼓を鳴らす。
「しんちゃん、凄い」
「運動神経と悪運だけは強かったからなアイツ」
試合中のしん様を見つめ、ボーちゃんは聞えない声で呟いた。
風間くんはそんな、ボーちゃんとしん様を見比べ少しだけ苦笑い。
「しんちゃんを正式な部員にしたい人って多い」
「…でも、しんちゃんは何にも執着しないわよ」
「そうだね」
ボーちゃんは持ってきていたタオルを握り、マサオは微笑んだ。
そのなかで桜田ネネだけは少し不機嫌そうな顔。
「もしかして、しん様が魅力的な男性だと今更、気付きましたの?」
「…しんちゃんはしんちゃんよ。魅力的だとかネネには関係ない」
あいは観客席のほとんどが女子生徒であることに溜息をはいた。
その目的が、しんのすけを観るためなのだと分かっていたからだ。
.