短編[BL]
□愛されていたい
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「あなたは、しん様とこれから先も傍にいられると思ってますの?」
「…しんちゃんが最後に選ぶのはネネだもん。約束してたのよ」
あいは、ネネの隣に座り黒い髪を右手で束ねた。
観客もメンバーも誰もが、しんのすけを見つめボールが跳ねる。
「してた、と言うことはそれはもう過去の話し」
「………」
「…大切なのは、しん様の未来ですわ。つまり」
「なによ」
「重要なのは、しん様がこれからどうしたいかということですわ」
そう言い切った、その瞬間。パスがしんのすけに回り会場は大盛り上がり。大熱狂。
「しんのすけ!いけ!」という選手の声と綺麗なホームバランス。
トンッと手首を曲げて遠く離れたゴールにバスケットボールが弧を描く。
しんのすけが着地したときには既にボールはゴールの中に入っていた。
「一気に逆転か。悪運だけは強い奴だなホント」
「…でも、しんちゃん凄い。流れが変わっ、た」
逆転。そう言えばいつかの試合でも最後にホームランを打った覚えがある。
やはり、凄い。誰もがそう思ったとき、しん様が遠くから手を振った。
「おお!俺の格好良いとこ見てくれたー?」
サラサラの髪。ピースを向けて、笑顔をこぼす。
増えるライバル。絶えない嫉妬。しん様はこんな自分を知らない。
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