短編[BL]

□世界は妄想
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「しんちゃん、ありがとう。また明日ね」


しんちゃんにだけ聞える大きさでそう言って立ち上がる。未練はない。

…と言えば嘘になるが、我儘を言えるほどもう子供でもない。


「ごめん、会うのは明日。今日は大事な約束があるから…またね」

「しんちゃん?」

ピッと言って無理矢理切れた電話。しんちゃんはネネの腕を掴む。

優しくて熱い


「…ネネちゃん勝手に帰っちゃ駄目だぞ。どこが大丈夫って顔なの」

「でも、彼女…」

「言ったでしょ、俺は誰よりもネネちゃんが大切なの。本当だぞ?」

「…大切と好きは違うの?ネネはしんちゃんが」


こんなにも好きなのに、大好きなのに?けれど言葉にはならなかった。

きっと神様が言葉にすることを許してくれない。


「…ネネちゃん、ネネちゃんが嫌だったら彼女とも別れるぞ」

「一生、誰とも付き合わないでって言っても?」

「いいぞ」

しんちゃんは嘘をつかない。しんちゃんはネネだけが特別。大事。

だから、ネネにはそれがたまらなく辛い。


「ネネちゃん?」

「しんちゃんに嫌われたらネネ生きていけない」


ぎゅっと、しんちゃんの腰を抱しめしんちゃんの胸の中で泣き叫ぶ。

しんちゃんは少し驚いてそれからネネの額にオデコをくっつける。


「ネネちゃんに嫌われたら俺も生きていけない」

「本当に?」

本当だぞ、そう言ってしんちゃんは震える声でネネの頭を抱いた。




ネネちゃんが大切、そう決めた日。誰よりも遠くに置こうと決めました。

end.
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