短編[BL]
□世界は妄想
4ページ/4ページ
「しんちゃん、ありがとう。また明日ね」
しんちゃんにだけ聞える大きさでそう言って立ち上がる。未練はない。
…と言えば嘘になるが、我儘を言えるほどもう子供でもない。
「ごめん、会うのは明日。今日は大事な約束があるから…またね」
「しんちゃん?」
ピッと言って無理矢理切れた電話。しんちゃんはネネの腕を掴む。
優しくて熱い
「…ネネちゃん勝手に帰っちゃ駄目だぞ。どこが大丈夫って顔なの」
「でも、彼女…」
「言ったでしょ、俺は誰よりもネネちゃんが大切なの。本当だぞ?」
「…大切と好きは違うの?ネネはしんちゃんが」
こんなにも好きなのに、大好きなのに?けれど言葉にはならなかった。
きっと神様が言葉にすることを許してくれない。
「…ネネちゃん、ネネちゃんが嫌だったら彼女とも別れるぞ」
「一生、誰とも付き合わないでって言っても?」
「いいぞ」
しんちゃんは嘘をつかない。しんちゃんはネネだけが特別。大事。
だから、ネネにはそれがたまらなく辛い。
「ネネちゃん?」
「しんちゃんに嫌われたらネネ生きていけない」
ぎゅっと、しんちゃんの腰を抱しめしんちゃんの胸の中で泣き叫ぶ。
しんちゃんは少し驚いてそれからネネの額にオデコをくっつける。
「ネネちゃんに嫌われたら俺も生きていけない」
「本当に?」
本当だぞ、そう言ってしんちゃんは震える声でネネの頭を抱いた。
ネネちゃんが大切、そう決めた日。誰よりも遠くに置こうと決めました。
end.